馬について

馬ってどんな動物なの?

乗馬というスポーツにとって、馬は大事なパートナー

「馬」というと、日常生活の中で見るのは、テレビの競馬中継や競馬場のパドックぐらいでしょう。普段の生活で何気なく見かける動物でありながら、犬や猫に比べれば詳しく知らない動物です。周りにも競走馬の血統に詳しい人はいますが、「馬」という動物について詳しい人はなかなか居ません。
犬や猫と同じぐらい、人間との付き合いが長い「馬」とはどんな動物なのか、詳しく見てみましょう。

人と馬のつながり

馬についてイメージ

人と馬の最初の関係は、豚や牛と同じように食料としての関係でした。その後、馬は人間の移動手段として利用されるようになり、狩猟や軍事に使われるようになりました。

現代のオリンピック種目も、軍事教練を発祥としており、「馬場馬術競技」は中世の技術を美的に誇張した姿で継承されてきたものであり、「総合馬術競技」は第二次世界大戦前までは軍事関係のみに限られていました。「障害飛越競技」は、スポーツとしての狩猟が普及していたイギリスから始まったといわれています。

「競馬」は、古代では馬車競走が主でしたが、その後、17~18世紀にかけてイギリスで作られたサラブレットの出現によって大いに発展し、現代の競馬が形作られていきました。

馬たちは紀元前から内燃機関の発達する近代にいたる数千年間、人間にその機動力を提供し続け、移動・運搬・農耕・戦闘・儀式・スポーツや娯楽の相手として人類とともに生きてきました。集団生活者である馬の善良かつ協力的な気質により、長年、人間にとって最良の相棒(コンパニオン)であり続けてきました。

産業革命後、さまざまな機械が馬の役目にとって変わり、競馬とスポーツ・乗馬を除けば馬の仕事はなくなりました。しかし、かつてのきつい労働からお役御免となって、馬という相棒(コンパニオン)に寄せる我々人間の敬意と賞賛の念は逆に高まってきたといえます。

馬の進化

馬としての特徴をもった最初の祖先は始新世(約6000万年前)の「エオヒップス」とされています。
大きさはキツネ程度で前肢は4本、後肢は3本の蹄を持っており、すでに速く走ることが出来ました。

「エオヒップス」から「オロヒップス」、「エピヒップス」、漸新世(約2500縲鰀4000万年前)の「メソヒップス」、「ミオヒップス」、中新世「パラヒップス」、「メリキップス」、鮮新世の「プリオヒップス」と進化し、更新世(約100万年前)の「エクウス・キャバルス」にたどり着きます。

「エオヒップス」の頃、馬は森林の中で低い木の柔らかい葉を主食としていましたが、その後、森林が徐々に大草原地帯に変わっていくのに伴い、環境に適応した進化をとげました。まず、指の数が減り蹄を持つようになり、四肢が長くなって収縮性のある靭帯を備えてスピードが出せるようになりました。歯の形は草をすり潰すのに適した形になり、首は葉を食べやすいように長くなり広い視野を持つために目の位置が変化していきました。
これら、現代の馬の特徴を全て持っていたのが「エクウス・キャバルス」であり、現代の馬の祖先といわれています。

馬の仲間

馬についてイメージ

「馬」の正式な学術名は、「哺乳類‐奇蹄目‐馬科‐馬属‐家畜馬」で、その中に、「サラブレッド」や「アラブ」、「アングロ・アラブ」などの品種があります。
奇蹄目とは、中指一本を中心に身体を支えて歩く草食動物で、同じ目には「バク」と「サイ」がいます。逆に二本の指で身体を支えているものは偶蹄目といい、「ウシ」・「ヒツジ」・「シカ」・「ラクダ」・「ブタ」などがいます。馬科には馬の他に「ロバ」・「シマ馬」の属があり、馬属には「家畜馬」一種類しか存在しません。

サラブレッドの歴史

現在、最も身近にいるサラブレッドという馬は、人間が作り出したものです。
サラブレッドという名前は「Thorough-Bred」(完全な品種)から由来しています。サラブレッドは生まれたときからそれぞれ人間の戸籍のようなものをもっており、先祖を辿っていくと「父祖馬」と呼ばれる3頭の馬にたどり着くことができます。

バイアリー・ターク(Byerley Turk)1680年生まれ
3頭の父祖馬の内、最も早く生まれた馬。バイアリー大尉が軍馬として自ら騎乗していた馬であることから、この名前になりました。この系統は5代目のヘロドを経て世界に広がりました。
ダーレー・アラビアン(Darley Arabian)1700年生まれ
現在サラブレッドの90%以上は、このダーレー・アラビアンの系統といわれるほど、最も繁栄しています。この偉大な血脈を大きき発展させたのが、5代目に現れたエクリプスです。
ゴドルフィン・アラビアン(Godolphin Arabian)1724年生まれ
モロッコ王国からフランスに送られるはずでしたが、運命のいたずらで英国に渡りました。伝説にあふれた経歴を持つこの馬は、3代目の子孫マッチェムを通じ、その血を今に伝えています。

馬の身体的特徴

馬は草食動物のため、肉食動物から早く逃れられるように体が進化していきました。馬の視界は約350度あるといわれており、真後ろ以外はほとんど視界に入ります。夜行性ではありませんが、夜目も利き、色もかなり識別できます。視界は広いが視力は良くありません。聴覚と嗅覚は敏感で、耳はあらゆる方向に動きます。嗅覚は人の匂いを識別し、その人の感情まで読み取ると言われています。

馬の目
哺乳類の中では一番大きな目です。
視界は広く、350度あります。
馬の鼻
鼻は非常に柔らかく、象の鼻のように器用に物をつかむこともできます。
馬の耳
両耳で360度向けることができます。
耳の動きで感情を表現します。

馬の毛色の種類

鹿毛
鹿毛
体は茶色で、たてがみや尾っぽなどの長毛が黒色の馬。
栗毛
栗毛
体は茶色で、たてがみや尾っぽなどの長毛も茶色の馬。
青毛
青毛
全身真っ黒の馬。
黒鹿毛
黒鹿毛
「鹿毛」に比べて、体は黒色がかった茶色で、眼や口の周り、下腹部などが茶色の馬。
栃栗毛
栃栗毛
「栗毛」に比べて、茶色が濃い馬。
青鹿毛
青鹿毛
「黒鹿毛」に比べて、黒色が青光りするぐらい濃く、眼や鼻の周り等が僅かに茶色がある馬。
芦毛
芦毛
生まれた時は「栗毛」「鹿毛」等と同じに見えるが、年齢が進むにつれて白色の度合いが強くなっていく馬。よく言う「白馬」とは、年をとって白くなった芦毛馬のことをいう。
※生まれつき白いウマは「白毛」と言う。「芦毛」と違い、生まれた時から白色で、眼が青色のものもある。皮膚はピンクで一部に色素を有するものがある。

さまざまな顔の特徴

馬の額にある白い模様のことを白斑といい、馬を見分ける目安になります。
この白斑には形や大きさによって名前があります。

星(ほし)
星(ほし)
額の一部が白い
流星(りゅうせい)
流星(りゅうせい)
星が下方向に流れたもの
流星鼻梁鼻白(りゅうせいびりょうびはく)
流星鼻梁鼻白(りゅうせいびりょうびはく)
額から鼻にかけて白い

馬のしぐさ表情

馬には群集性という本能があり、群れで行動します。そのため群れの中でのコミュニケーションは大切です。
人間から見てよくわかる馬の表情としては、耳の動きがあります。馬は聴覚にすぐれ、注意が向いている対象に耳が向きます。逆に、怒っているときは耳を後ろに伏せます。
その他に、エサが欲しいときや寝転がりたいとき、おなかが痛いときなど、何かして欲しいときには、「前がき」といって地面を前足で掻きます。
「フレーメン」は上唇を上げて笑っているように見えますが、恋人を呼んでいるときや、何か珍しい匂いを嗅いだときにします。
馬の睡眠時間は3時間ぐらいです。警戒心が強いので、本来は熟睡せず日中に短時間の仮眠をとります。そのため、立ったまま寝ることができます。

前掻き
前掻き
何か欲しい時や、注意を引きたい時は、前足で地面を掻きます。
耳を伏せる
耳を伏せる
警戒している時や、怒っている時は耳を伏せます。
耳を立てる
耳を立てる
興味があるものや、注意が向いた方に耳を立てます。
フレーメン
フレーメン
何か不思議な匂いを嗅いだ時に上唇を上げて空気を吸い込みます。

馬の歩き方

馬の歩き方は4種類に区分されます。
まず、普通に歩くときは「常歩(なみあし)」と呼ばれ、4本の足が交互に着地する4拍子の歩法です。
次が「速歩(はやあし)」と呼ばれる歩法になります。この歩き方は人間が普通に歩くように、対角線上の足が交互に動きますので、2拍子となり、小走り程度の速さになります。
3番目の歩法が「駈歩(かけあし)」と呼ばれるものです。この走り方だと3拍子となります。障害を飛んだり草原を走ったりする速さとなります。
最後が「襲歩(しゅうほ)」と呼ばれる歩法になります。競馬でよく見る走り方で、馬は全速力で走っている状態です。リズムは4拍子となります

馬の手入れと健康管理

馬の手入れと健康管理

馬が普通に生活していくためには、人間の世話が必要です。特にサラブレッドは、野生種では存在しないので、人間がエサをあげ、馬房を掃除してやり、手入れをしてあげなくてはなりません。

毎日世話をしてあげることで、馬に対しての愛情も湧いてきますし、馬の体調や気分が徐々にわかるようになってきます。特に馬の場合は、蹄(ひづめ)は命の次に大事といわれ、蹄の手入れは重要な日課になります。

馬の装蹄(そうてい)

馬の足は人間の足と違い、本来は中指が進化したものです。そのため、蹄(ひづめ)は1つしかありません。
蹄には「蹄鉄(ていてつ)」という鉄が取り付けられており、人間が靴を履くように蹄を守る役割をしています。
しかし、蹄は1ヶ月に1cmぐらいずつ伸びていくため、「装蹄師(そうていし)」と言われる専門の人が蹄を整え、馬の蹄に合った「蹄鉄(ていてつ)」を取り付けてあげます。

蹄鉄
削蹄
蹄鉄