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アメリカの馬雑誌「The Horse」の記事をご紹介します。
今回のテーマは、「高齢馬のケア」です。健康な馬の管理の参考にしてください。

高齢馬のケア

高齢馬にとって快適で健康な状態とは何なのか

ある報告によると、馬では高齢になればなるほど、QOL(生活の質)へのケアや予防医療が不十分であるといわれています。歯科や関節の疾患、クッシング病、再発性の呼吸器疾患、眼疾患といった苦痛を伴う状態に対して、どのような予防・管理ができるでしょうか。

高齢馬のケア

健康な歯の維持

歯の疾患は、最も見過ごしやすい問題です。高齢馬の場合、歯のチェックは6~9ヵ月毎に行ったほうがよいとされています。深刻な歯の疾患については、段階的な歯科治療(整歯)と食餌療法が推奨されます。歯に対するケアが十分であっても、咀嚼能力は減退していくものなので、疝痛などの問題につながることもあります。高齢馬の歯の問題としては、鋭く尖って口腔内を傷つけているものや噛みあわせが悪いもの、歯がぐらついているもの等が挙げられ、これらは咀嚼時に痛みの原因となります。ただ、馬が一定の年齢になったからといって、一概に高齢馬用の食餌に変更したり、運動量を減らしたりするべきではないといわれています。

歯が少ない、または全く無い高齢馬では、食道梗塞(喉詰まり)のリスクが高くなります。歯の問題による食道梗塞を予防するには、ふやかしたペレットやヘイキューブを給餌するのが良いでしょう。また、馬がゆっくりと餌を食べるように給餌方法を工夫する必要があります。以下の方法を試してみましょう。

  1. スローフィーダー(格子や網目がついている飼い桶)や目の細かいヘイネットを利用する。
  2. 広い範囲に乾草を広げる。
  3. 飼い桶の中に適当なサイズの石などを入れて、よけながらでないと食べられないようにする。

飼い桶のそばに落ちている草の塊は食べこぼしのサインです。これは歯や神経の問題で咀嚼や嚥下が妨げられて起こるとされており、このサインが現れた場合には歯のチェックが必須です。

健康な歯の維持

体重の管理

高齢馬の多くは肥満傾向にあり、重たい身体は老化した関節などに特に負担をかけると考えられています。

もしも高齢馬が肥満気味であったなら、馬のメタボリックシンドローム(EMS)の検査を受けることをお勧めします。EMSはインスリンの異常により引き起こされ、蹄葉炎の原因にもなります。インスリン抵抗性であると診断されたなら、牧草地への放牧制限や、糖質やでんぷんの摂取制限を始めたほうがよいでしょう。一方、馬が痩せているのであれば、まずその原因を突き止めなければなりません。歯の問題や、もしくは頸関節の問題があるために地面の餌が食べにくいということがありえます。後者の場合には、餌を置く場所を馬の肩の高さに替えることで飼い食いがよくなるかもしれません。

急な体重減少は、歯や顎の問題ではなく、悪性腫瘍、肝臓・腎臓疾患、内部寄生虫等の問題である可能性が考えられます。これらに関しては、獣医師による検査が必要ですが、医学的な原因が見つからなかった場合には、カロリー補給のために米ぬかや大豆油やアマニで脂肪分を追加することも良い手段です。

馬の筋肉の状態は歳を重ねるごとに低下していきます。その予防や対策には、アミノ酸バランスを考慮したシニア用の飼料やサプリメントが推奨されます。筋肉が落ちるのがあまりに早いようなら、獣医師と相談し、神経または筋肉の異常等の問題についての検査をしたほうが良いでしょう。

体重の管理

慢性疼痛と運動管理

馬は歳をとると、関節、軟骨、腱などが徐々に消耗していき、筋骨格系の問題が増えていきます。関節炎の馬は、運動を制限するのではなくコンスタントに行うことが大切で、放牧程度であっても身体を動かすことによって、腱や関節の状態を柔軟に保つことができます。特にまだ騎乗されているような馬であれば、抗炎症薬やサプリメントを適切に投与することは、腱の状態を良好に保つために有用です。もし高齢馬を持っていてまだ競技会に出ているのであれば、若いときより運動の調整に時間がかかり、週末だけでなく毎日の運動を続けることが必要になってきます。しかし、歳をとると疲れるのも早くなるため、レッスン前のウォームアップを長くすることはあまり良くないかもしれません。

高齢馬が快適に過ごせるよう馬房を工夫することは怪我の予防につながるため、コンクリートなどの床の上にはゴム等のマットを敷くようにしましょう。適度な弾力のある床が理想的で、高齢馬が馬房で滑らないことが重要です。

運動管理

クッシング病のモニタリング

クッシング病、別名下垂体中葉機能障害(PPID)は、高齢馬に特有の疾患で、20歳以上の馬の20%~30%が影響を受けています。クッシング病という病気は下垂体と副腎のコミュニケーションが正常に行えなくなる内分泌系の異常です。下垂体の内分泌機能異常は、馬の外貌(長くカールして毛羽立った毛並み)と強い関係があると考えられていますが、より大きな問題としては慢性的な感染、蹄膿瘍、多飲多尿、筋肉量の減少などが挙げられます。これらの異常は蹄葉炎にかかりやすくさせる可能性があり、そのためACTHとインスリンというホルモンの検査を実施し、早期の診断と適切な処置が重要になります。

高齢馬がもしもクッシング病であった場合、症状の進行を抑えるために、主な治療薬とされているペルゴリドの投薬を開始するか獣医師と相談すべきです。加えて、馬を快適にするために、必要に応じて毛刈りを行うとよいでしょう。

肺と眼の健康

馬は歳をとるにつれて慢性的な呼吸の問題に陥りやすくなり、咳を患いやすくなります。しかし、これらの問題は肺が衰えるためではなく、多くは再発性の気道閉塞によるもので、歳をとるにつれて悪化してくる傾向にあります。呼吸を楽にする方法としては、馬房内の換気状態を改善するか、放牧に出すことです。乾草は汚れやカビが無いようにして、必要ならばアレルゲンを除くために水に漬けて洗い流すことも重要です。また、獣医と相談して吸入の抗炎症薬が必要か調べることも必要です。

視界の変化は、高齢になると起こりうるものですが、多くは発見が困難です。高齢馬が方向を間違えたり、物にぶつかったりしているのを発見したときは、眼の検査を行うべきです。なぜなら角膜潰瘍や白内障、ぶどう膜炎(月盲)などの発症頻度は歳とともに増加するからです。

眼の健康

高齢馬管理のポイント

高齢馬を管理するにあたって覚えておかなければいけないいくつかのポイントがあります。

  • よく観察すること
    • 身体の問題は、早い段階で発見するほうが、治療が容易であることが多いからです。
  • 問題の進行を防ぐこと
    • ボディコンディションの評価と糞便の虫卵数検査の日程を組み、年に二回は獣医師による歯の検査をするのが望ましいです。
  • 個々の馬によって管理方法を変えること
    • ある年齢になったからといって、急に食事や運動を変えないこと。彼らの体の変化に合わせることが重要です。
  • 『歳をとることは賢くなること』
    • 高齢馬は身体的なサポートがある程度必要かもしれませんが、彼らの経験値は非常に貴重で若い馬の持っているものとは置き換えられないほどです。20歳を超える馬の多くはレッスンを完璧にこなし、オーナー達にすばらしい時間をもたらしてくれるでしょう。
  • QOLの低下の徴候を知っておくこと
    • 馬の体調に変化があったら、獣医師に早めに相談したほうがよいでしょう。筋肉が落ちる、ふらつくといった老化の兆候が徐々に進んでいくようであれば、いつか立てなくなる日が来ることも想定しておくべきです。そして、馬が良い状態を保てなくなったり、起立できなくなったり、ひどくQOLを害する状態になった時は、安楽死を選択するタイミングであることを心に留めて置いてください。
参考Website: “The Horse” Keeping the Aging Horse Comfortable

高齢馬管理のポイント


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