TOP

  1. TOP
  2. FARRIERY

FARRIERY

装蹄とは


「ガラスの肢蹄(足)」を守るために

「ガラスの肢蹄」という言葉があるほど、馬の足は繊細です。
数百キロの体重を支え、激しい運動を行う馬にとって、足元のトラブルは命取りになりかねません。
装蹄とは、単に「靴を履かせる」ことではなく、この繊細な足を一生涯守り続けるためのトータルケアなのです。

1. 知っていますか? 蹄(ひづめ)の正体

馬の蹄を人間に例えると、実は「中指の先」にあたります。馬は中指一本の爪先だけで立っているような状態なのです。

  • 絶え間ない成長: 蹄は人間の爪と同じく常に伸び続けています。放っておくと形が崩れ、足首や関節に負担がかかります。
  • 定期的なメンテナンス: そのため、定期的に伸びた部分を削り(削蹄)、形を整える必要があります。

2. 装蹄は、足元の「トータルケア」

乗馬や競馬で運動をすると、蹄は自然界にいる時よりも早く磨り減ってしまいます。
そこで「蹄鉄(ていてつ)」を打ち込み、摩耗を防ぎます。

しかし、装蹄の役割はそれだけではありません。
蹄の形を適切に保つことは、病気やケガの予防に直結します。
時には、獣医師と連携しながら、蹄病(蹄叉腐爛など)のチェックや歩様の改善も同時に行います。

3. 装蹄の3つの目的

装蹄師は、馬の歩き方や体調に合わせて以下の3つの目的を同時に果たします。

目的 内容 主な手法・道具
肢蹄の保護 硬い地面での摩耗を防ぎ、欠けや割れを防止します。 蹄鉄の装着、接着剤による固定。
疾病の予防・治療 蹄の病気(蹄叉腐爛など)の予防や、足の不具合を矯正します。 ウェッジパッド(傾斜板)、エッグバー(連尾蹄鉄)、パテ(補修材)。
能力の向上 競技の種類に合わせて、走りやすさを調整します。 ジュラルミン製蹄鉄(競馬)、クランポン(障害馬術のスパイク)。

4. 装蹄の歴史:ケルトから現代へ

装蹄の歴史は非常に古く、人類と馬の歩みの歴史そのものです。

  • 起源: 紀元前の鉄器時代、ケルト人によって釘打ちの装蹄が始まったと考えられています。
  • 日本の歩み: 明治時代に西洋の技術が入るまで、日本では「藁(わら)」で作った馬わらじを使用していました。
  • 現代の科学: 現在では3Dスキャンによる歩様解析や、合成樹脂を用いた補修など、最先端の科学技術が導入されています。

5. 装蹄と同じくらい大切なこと:日々のケア

装蹄師が訪れるのは数週間に一度ですが、日々の観察は日常の管理者しかできません。

手入れ・裏掘り

蹄も皮膚と同じく呼吸をしています。
不潔な状態が続くと病気になりやすいため、毎日のお手入れが基本です。

蹄油(ていゆ)の塗布

湿度の高い日本国内では、季節による乾燥や過湿への対策が重要です。
季節に合わせて蹄油を塗り、適切な水分量を保つことが健康な蹄への第一歩です。

装蹄は、職人の技と科学的な視点が融合して初めて完成します。
『装蹄師』と『獣医師』・『日常の管理者』で連携し、馬たちの健やかな歩みを支えています。


contact contact
Osaka  - 大阪 -
〒583-0867
大阪府羽曳野市河原城991